2017/09/20 09:37 午後

Antike (古代) / by Gerdts

  • 2006/10/28 02:38 午前
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[古代ローマで地政学ゲーム。担当国を決めて3都市からスタートして、街から出る資源を元に軍隊を雇って軍隊を動かして軍隊で街を建てて、と極々オーソドックスなスタイル。変わっているのは勝利点の獲得方式がゲーム終了時点での勢力ではなく最初に勢力をここまで広げたら1点というような早い者勝ち後は俺知らね形式になっていることと、一回の手番では軍隊を動かすか資源を得るか軍隊を買うか以下略のうち一種類の行動しかできないこと。]
El Grandeに代表されるような1着2着エリアマジョリティゲームというのは考え方によっては英米式地政学ゲームのドイツ的解釈、という形にも取れると思うのですが、それはそれとして欧州大陸では時折、そのような意味における「ドイツ的解釈」よりももう少し踏み込んだものが発表されることがあります。但しこれがストレートに欧州人による英米式地政学ゲームなのかというとそういうこともなくて、やぱし異なった美意識のもとに作られているのですね。わたくしは個人的にこういうのを「二時間で巡るアメリカ」と呼んでおります。

要はプレイアビリティを優先して何かの要素を落とすわけで、じゃあどこを残してどこを落とすのかという点にデザイナーの主張と技量が現れるんですけど、ではこのゲームはどうでしょうというと、まずテーマ固有の特殊ルールを全て落としてます。それだけではなくて手番にできることの量を落としてゲームのテンポを上げ、さらに勝利条件をチェックポイント通過制にすることでゲーム展開を速くし収束性を強め、と潰せるところは全て潰しています。

概ねこういうゲームを作る人というのは何か残したい英米性があって、それを強調するために他の要素を落とすもんだと思うのですが、このゲームの場合はほんとに全部落としていて、普通はそうまでして地政学ゲームやりたいのか、そこまで淡泊にするくらいなら普通にドイツゲーム作ればいいじゃん、という話になりそうなところです。このゲームが立派なのはプレイヤーにそう感じさせないところで、何が効いているのかというとおそらくは「一回の手番でできる行動は一種類だけ(かつ、いま選んだ行動が、次手番にできる行動の選択肢をあるていど決定する)」という非英米的な要素が非英米的な効果をあげているんではないでしょうか。この要素のおかげで黙ってても全員の選択が散っていき、それぞれがそれぞれ違うことをやって違うチェックポイントを通り(勝利点が貰えるチェックポイントは複数あるのです。こういうとこでも各人の行動が散るように考えて設計されているものと思われます)、ということでありがちな予定調和の押し問答から逃れることが可能になっています。

あくまで非英米式。ですので古代であるにもかかわらずここには夢もロマンも歴史もありません。このゲームが味わい深いのは、そのような幻想の味覚を全て取り去ってなお、地政学ゲームが他の何者でもない地政学ゲームとして成立しうるという点にあります。


Antike
by M.Gerdts
(Eggertspiele, 2005)
沢田★★★☆

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