2018/11/15 02:33 午前

「もっとホイップを」日本語版を11月上旬に発売します。

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  • 2018/10/26 09:01 午後
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先程ニューゲームズオーダーのTwitterアカウントでも発表させていただきました通り、ジェフリー・D・アラーズ作のゲーム「もっとホイップを」
(原題:Piece o' Cake)を日本語版として発売します。

※作者はアメリカ人のため、原題は"Piece o' Cake"となっています。
ドイツで出版された際の"...aber bitte mit Sahne"というタイトルに馴染みがある方もいらっしゃるかと思いますが、検討の上原題は英語表記としました。

本製品については、「ペンギンパーティ」「エスカレーション」同様、ゆかいなさかなさんのご協賛をいただいております。
こちらは海外工場より着荷次第、11月上旬より随時出荷を開始する予定です。価格は税込2000円となります。
アートワークは完全新規となっており、弊社製品を数多くお願いしているママダユースケさんにご担当いただきました。



箱サイズ及びタイルのサイズについて、上の写真をご覧ください。タイルの寸法についてはドイツ語版とほぼ同様ですが、タイルの厚みについては、
多角的に検討した結果ドイツ語版よりやや薄いものを採用させていただいています(弊社ハイソサエティのタイルと同水準の厚みです)。

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●日本語版出版の背景

さて…、この度のニューゲームズオーダーの新製品。
有名と言えば有名な、しかしながら知らない方も多いと言えば多いだろうこちらです。
私どもとしてはかねがねラインナップに加えたいと思っていたゲーム、それがこの「もっとホイップを」でした。

2008年にドイツのウィニング・ムーブズ社から出版され、大好評を博した本作は、当時からボードゲームを遊んでらっしゃる方からすると、
「ああ、ケーキのね!」で通るくらい、何かと出番の多いゲームだったかと思います。
ルールも簡単、30分以内で遊べる、ケーキが美味しそう…。
そして何より、シンプルなルールの中にも駆け引きの醍醐味・悩ましさがある。
と書くと「まさにニューゲームズオーダーが好きそうなやつ」って感じですが…まったくその通りです(笑)。
ただこのゲームに関しては、「自分達の好みにはまった」という以上に、
「こういうゲームが面白いってことなんだな」と自分達に再確認させてくれた、そんなレベルの傑作でした。

ということなんですが…、今回、自分達がこのゲームの日本語版出版を具体的に実行に移そう、と決意したのは、
このゲームのリメイク版となる「ニューヨーク・スライス」がアメリカで発売される件について聞き及んだからでした。

「あ、再版あるんだね!」とも思いましたが、「ケーキじゃなくなるのか…」と若干の懸念を感じたのが正直な所でした。
少なくとも日本に限って言うと、ケーキの切り分けというテーマが老若男女問わず幅広く遊んでいただく機会を創り出しているんではないか、
と評価していたためです。加えて、ニューヨーク・スライスについては「箱が大きくなっている」という点と
「ルールが様々加えられている」という点で、元版の方向性と異なるものとなっていた。

これは一面、もっとホイップが「装いも新たに再版された」と言える一方で、
他面「元のシンプルなゲームを遊ぶチャンスが遠のいてしまった」ということでもあるなと。


●出版の着手と経過

…と、そこまで考えが進んだ所で、「これは、日本語版としては元のケーキテーマとタイトルで出版することにしよう」と思いました。
日本語版はニューゲームズオーダーから別に出しましょうと。
善は急げということで、早速作者のジェフリーさんに出版打診のメールを送りました。

ボードゲームの作者さんは連絡がまめな人から気が向かない限り返信してくれない人まで本当に様々ですが、
ジェフリーさんは幸いなことに前者で、すぐに連絡が取れました。しかも嬉しいことにこちらからの提案に非常に乗り気でした。
しかしながら…、出版権の所在としては「ニューヨーク・スライスを出したベジェゲームズが包括的に持っている」とのことでした。
ちなみに「ベジェゲームズからの許諾が取れたら、ジェフリーさんとしてはうちが出版してOK?」との問いには
「そうだね、是非!」という返事がもらえました。

ということで、即日ベジェに連絡した所、こちらもすぐに返事が来たのですが、
「実はニューヨーク・スライスの日本語版の出版について他社と契約済みのため、お応えできません」という返答でした。

うーむ。


●契約の袋小路、と決めることも無い状況

…という所で普通は断念、というところだと思うんですが。
ここで諦めてしまうのはもったいないので、もう少し粘ってみようと思いました。
そこで、「ニューヨーク・スライスの日本語版を出す予定なのは、もしかしてアークライト社ですか?」という問い合わせをしました。
(ベジェゲームズの過去の日本語版出版物から判断して、可能性が一番高いのはアークライトさんかな、と思ったためです)
「もしそうなら、先方に『ニューヨーク・スライスとは別の役割を持つゲームとしてケーキ・バージョンを出したいと考えていますが、許可いただけませんでしょうか』という提案をしてみたいのですが」と。

先方は「確かにアークライト社なので、そちらで許可が得られるのであれば、こちらとしてはOKです」という返答をくれました。
重要な半歩前進。

ということでお礼もそこそこに今度はアークライト社に連絡を入れ、状況を詳細に説明しました。
…アークライトさんは今回の出版の意義に最大限のご理解をいただき、即日OKの返答を下さいました。
ということで…、状況一転、「もっとホイップを」の日本語版出版、可能となりました。
ジェフリーさんに日本語版打診してから二日間での状況打開。
今回の出版にご理解をいただいた関係各方面に、改めて御礼申し上げたいと思います。


●本製品の仕様、ルールの(小さな)変更点について

既にニューヨーク・スライスが(日本語版を含め)存在する状況でケーキバージョンを出すということで、
本製品出版にあたっては「差別化」を一層重視することを心がけました。
ポイントは「大きさ」「価格」「シンプルさを軸としてのルール整理」という三点です。

・大きさ
自分がこのゲームの日本語版出版を考えた時、即座に「箱を小さくした方が良いだろうな」と思いました。
このゲームの長所は何といっても「コストパフォーマンスの良さ」。
コストと言っても単純に販売価格のことだけではなく、しばしばそれ以上に重要となる、
「遊ぶ準備」「遊ぶ人を揃える」といった労力の側面、それに比したプレイ後の満足感、
そのバランスが抜群に優れている、というのが、「もっとホイップを」に自分が持っている印象です。
「これだけのことでこんなに楽しめるのか~」と感心する。

ただ元のドイツ語版を考えた時、そのコスパに若干ながらもブレーキをかけていたのが「やや大きな箱」だったかなと。
考えてみれば、そこそこのサイズのタイルが57枚も入っているゲームなので、どうしたってカードゲームサイズにはなりようがない。
それは当然なんですが、ゲーム内容を考えると、も~ちょっとだけ小さかったら嬉しいんだけどなあ!と感じるのも事実でした。

そこで今回、ややタイルを薄くさせていただく選択をし、箱サイズを限界まで縮小する決断に至りました。
一方タイルの面積については変更していません。
「箱を小さくするために、タイルを薄くするのはどうなんだろう…」というのは最後まで迷う部分ではありましたが、
今回の「もっとホイップを」に託したい卓上ゲームの新たな広がりへの可能性を考えた時、踏み切った方が良いだろうと考えました。
「いや、絶対分厚い方が良いぞタイルは!」という方もいらっしゃるかとは思いますが、そういった方にはニューヨーク・スライスの選択肢もある。
極論すれば元のドイツ語版を中古で買い求めることもできるでしょうから。

・価格
価格は今回、税込2000円となっております(消費税が来年上がるようなのでその際は再度考えます)。
こちらの価格については既に「おお、結構安いね」という反応をいただいています。
恐縮ながらその反応は想定しておりましたので、たいへん嬉しいです。
今まで以上に幅広い方に、多くの場面で遊んでいただける可能性をこのゲームに持たせたいと考えた上での設定です。
なお、この価格を実現する為にタイルを薄くしたわけではない、ということは念のため申し上げておきます。
「こんな価格でできるの?」ということに対する答えは、純粋に「生産数」(つまり目標としている販売規模)です。
これには販売に常々ご協力いただいているゆかいなさかなさんのお力も大きいですし、
今回についてはアークライトの物流部さんでもお取り扱いをいただく約束をしています。
ニューゲームズオーダーが届かない範囲の販売店舗(TCGショップなどにも新たな売り場は増えていると思います)にも、
合間にやる気軽な、でもちょっと趣の違うゲームとして、お広めいただけるのではないかと期待申し上げています。

・シンプルさを軸としてのルール整理(以下このゲームのルールを既にご存知の方向けのお話です)
今回の日本語版を出すにあたり、作者のジェフリーさんと協議の上、ドイツ語版と若干の変更をしています。
「『後から食べる』選択肢の撤廃」「スタートプレイヤーを2回務めるプレイヤーへの平等確保のためのオプションルール追加」
「『5』と『9』のホイップの個数『変更』」の3点です。

まず、ドイツ語版のルールには「手元にとってあるケーキを後から食べることにする(代わりにそのラウンドケーキの分け前をもらわない)」
というアクションの選択肢があったのですが…、これは戦略的な意味合いがやや薄く、無くても良いのではないか…という、
このゲームのルールにとっては「玉に傷」という印象があるものと考えていました。ジェフリーさんにこの点、単刀直入に確認した所、
「実はそれはウィニング・ムーブズが無断で付け加えたルールで、自分は出版されるまでその変更を知らなかった」
というかなり衝撃の回答があったため、同意の元撤廃することになりました。

次に、このゲームは5ラウンド行われるゲームで、スタートプレイヤーが原則不利なゲーム、ということで、
プレイ人数が少なかった時の2回スタートプレイヤーを務めるプレイヤーが生じる不平等について、言われることがありました。
これについては過去に作者本人からオプションルールによる是正の提案がなされていた為、こちらはルール末尾に加えています。

最後に「5」と「9」のホイップ数について…、「5」のタイルのホイップ数を1個から2個に、
そして「9」のタイルのホイップ数を2個から1個に変更しました。この点だけは…、私の個人的な思いとも言えるルール変更です。
しかしながら当時をご記憶の皆さんからすると、「ああ、あの件か…」と思い出されるかもしれません。
各タイルに記されているホイップクリームの数が、そのタイルを獲得して食べた場合の点数になるわけですが、
2008年当時、メビウスゲームズさんが輸入され、最初に流通したこのゲームのタイルが、今回採用したのと同じ構成をしていました。
「このゲームは面白いぞ!」と噂があっと言う間に響き渡り、当時としては本当に多くのボードゲーマーが遊んだ後で、
「どうも『5』と『9』のホイップの数が逆、タイルのエラーらしい」と言う話があり、後日メーカーから修正タイルが配布されました。

自分達としては「『5』のホイップが2個、『9』のホイップが1個で全然問題無かったけど…」
と感じましたが、とは言えエラーということなので、修正タイルをいただき、自分達も改めて遊ぶことにしました。

この後のことは、意見が分かれる所でもあると思うんですが、
「元のタイル構成の方が、ちょっとしたアクセントになっていて面白かったような…」というのが私達の感想でした。
これは自分達だけではなく、その頃のボードゲーマーの中で度々話題に上がったことだったと、記憶しています。

この話をジェフリーさんにした所、「その話も理解できるから、ホイップの数については一任するよ」
というお話をいただいたため、今回、前述の通り(つまり「間違い」と言われた当初の状態のホイップ数)に変更しました。
決してゲーム内容を過度に複雑にする変更では無く、本作の面白みを際立たせる向きの変更と考えているため、
元版(の修正後のもの)で遊んでいた皆様にも是非お試しいただければと考えています。


●「もっとホイップを」リリースにあたっての思い

さて。「もっとホイップを」日本語版を今回、自分の考える形で出させていただくのですが。
2018年も終わりに近づいている今、ボードゲームを取り巻く現状に対して、
自分ができる一番効果的な…のではないかと考えたのが、この取り組みでした。

「え?NGOのいつもの、ちょっと気が利いてはいるけど地味な再版じゃん」と思われる方も、いるんじゃないかと思います。
ただ、自分としては、このゲームはなかなかに得難いボードゲームの「切り札」だと考えています。
ボードゲームを遊んだことある、買ったことある、という人は、この10年、国内で激増した。間違いないと思います。
しかしながら、「買う人増えて欲しい」という商業的な要請にとらわれ過ぎ、
プレイヤーに「求める」のを怠り過ぎているのではないかと、思うことがあります。
「買ってくれさえすればいい」という風潮、ありませんかと。

このゲームは名作という評価は確立してますが、「でもあのゲーム、結構悩ましいよね」という評価もある。
ボードゲームとしての醍醐味としての、難しさがあります。
誰でもできるよ、って言えるか?と言われたら、「自分にはちょっとしんどかった」と感じた人も、いると思います。
「みんなは面白いって言ってたけど、自分はケーキの切り分け方、勘所が良くわからなくて、参ったんですよね…」という感想を受けもする。

自分がこのゲームを切り札だと思うのは、自分達の思うボードゲームの面白さの根幹である所の「駆け引き」が不可欠のゲームだからです。
他の人、参加者全員の思惑、事情を考えないそしてともすればしゃべらないと、心底は楽しめないゲームだからです。
他の人の狙いを見通せて楽しい、見通しきれなくて楽しい。

「他の人が考えてることとか、全っ然わからないんだよな…無理…」という苦手意識を持ってる方にこそ、
もう一度、できたら!このゲームを挑戦してみていただきたく、思っております。
幸いにしてこのゲームは、長大なルールや盤上にひしめく多すぎる物品にまぎれることのない、シンプルでピュアな駆け引きのゲームです。
「あっ、そういうことだったのか」という気付きのチャンスが、一番多いゲームでもある。
その気付き、もちろん簡単ではないんですが…。

ボードゲームを新しくするのは最早デザイナーの役割ではないのではないか、と考えるようになって久しいです。
ボードゲームが新しくなるのは、プレイヤーが新しいことをできるようになり、新しいことを求めた時ではないかと。
「もっとホイップを」をがたくさん遊ばれて、「駆け引きってのは、難しいけど面白いもんだね」という心持ちの方が今よりずっと増えたら。
その時改めて、ドイツボードゲームのデザイナーのターンが来るのではないかなと。
ボードゲーマーとして頭と心と口を動かしている、というにはまだ満たない方々に巧妙に、
そして過度に寄り添って利益に変えられる技量を競うのは、ゲームデザイナーにすべき要請の全部では到底無い。
「もっとホイップを」から、もう一度始めませんか。というのが、自分の今の願い、心境です。

…な~んて小難しい話を読まなくても(笑)、「もっとホイップを」面白いゲームですので。
2000円の小箱ですし、一つ買って、色んな方と遊んでみていただければ幸いです。
以上!勝負じゃ!

今年もエッセンには行っておりません(私は)。

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  • 2018/10/25 06:30 午後
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ドイツはエッセンで、ボードゲーム等の卓上ゲーム見本市、通称エッセンシュピールが週末まで開催されてますね。私は…行っておりません(笑)。
旅行がてらの沢田と、ミニチュア関連の用事+勉強目的ということで広瀬が行っているので、関係各社に伝言程度は頼んでますが。

国内の(ドイツ・ユーロ系)ボードゲーム関連のお仕事の方は結構行ってらっしゃると思います。
仕事内容にもよるので行く必要がある方も多いでしょうし、後は半分仕事半分バカンス、という方もいらっしゃるのかと。
ただ自分の現在の仕事内容でいうと、あまり足を運ぶ必要を感じてません…遠いんですよねドイツ(笑)。
自分としては、昔と比べると、日本にいながらにしてできる仕事が大半ですし。

エッセンに一番用がある、行くべき人がどんな人…と言うと、「ボードゲームを買いたい人」…ということになります。
これはプレイヤーとして、と言う意味でもそうですし、新作のボードゲームの日本語版を出したい、という会社という意味でもそうです。
ニューゲームズオーダーについて言うと、そこで猛烈な売り込みが来るゲーム群はあまり守備範囲じゃないんですよね。
もちろん中には面白い物や価値ある物もあるんだと思いますが、…全部じゃない、もちろん。
そしてそれを見極めるのって、そんな短時間では難しい。一回持ち帰って遊んで、条件見させてね、という気持ちになる。
その場の勢いで契約、そこまで行かなくても確約取りたがるパブリッシャーが多くて気疲れするんですよね(笑)。
「で、何部要る!?」(買うって言ってない…)みたいな時間が思い起こされます。

ニューゲームズオーダーで今リリースしてるゲームって、多くが「こっちきっかけ」なんですよね。
誘われるやつは大抵、ニューゲームズオーダーでは商業レベルに上げるのが難しい。
たまにある「あ、それは日本語版出したいなあ!」みたいな良い話の場合、当然他社さんだって同じように思うものです。
そういう物を取り合うのは、国内状況にとってロスだと思ってます。
仮にニューゲームズオーダーで出せば僅かながら品質が上がる、かもね、みたいなものでも、その僅かな向上は、
契約関連の揉み合いと比較したら状況にとって赤字かな…、みたいな心持ちです(感覚的なものですが)。

ということで、そういう案件が目の前を通り過ぎても、大抵は他社さんから良い感じでリリースされるのをお祈りしつつ、
自分達は自分達しか担当しない、できない仕事をしていこうということです。着眼点、問題意識、質と規模、タイミングを大切に。

ということで…次のゲームマーケットに出せる見込みがようやく具体的になってきたものを、近日発表します。
その心は?という、リリースに至った経緯のブログ…一部の方にご好評いただいているやつですね(笑)、を準備している最中です。
国内にいらっしゃる皆様中心に、よろしくお願い致します。

B2FGames、13年目開始。

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  • 2018/10/01 06:36 午後
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10月になりました…ということは9月決算のB2FGamesは12年目が終了し13年目に入ったことになります。
ニューゲームズオーダーは2009年3月起業なのですが、自分としては務めていた会社(イエローサブマリン)を退職し、
貯めたお金300万円でB2Fを起業した2006年10月、厳密に言うと2日がある意味誕生日のように感じています。
…と言っても特段イベントとかやらない性分なんですが(笑)。

最近はニューゲームズオーダーの製品制作、そして同じくらいラインナップのメンテナンスの仕事が中心になっていますが、
NGOとB2Fっていうのは自分の心の位置づけとして結構違うものなんですよね。
ニューゲームズオーダーは(大げさかもしれませんが)「公のため」という所を結構意識している。
ボードゲームを中心に卓上ゲームにご愛顧いただいている皆さんと、上手く協力してメリットを共有していく装置がニューゲームズオーダー。
それに対してビーツーエフゲームズは「自分らしさ」あるいは「自分達らしさ」という所により重心が行きます。
自分達と卓上ゲームの関係性、と言う部分について100%本音で動く(あるいは動かない)のはビーツーエフで、と思ってます。

ニューゲームズオーダーの責任者として「公」なんて言ってますが、私吉田や西山と直接面識ある方ならわかると思いますが、
まあ腹に一物も二物もあるアウトサイダーなんでホントは(笑)。ネットでは言わないけど、普段は本音を何でも口にしてしまうし。
思ってることを(思った以上は)伏せたくないので、言ったら角が立ちそうなところにはできれば立ち入りたくない。
これから先々卓上ゲームの商業がどうなっても、まあ最悪心配すんな僕らが居るから、という気持ちでやってます。
ニューゲームズオーダーということで言えば「良質なゲームの普及を通じた収益性の増大」ということに一層取り組んでいきたいですし、
ビーツーエフゲームズということで言えば
「NGOで稼いだお金を少々使って儲かるかはわからんけど自分たちが楽しくなる可能性を認めたことに取り組んでいく」
つもりです。有体に言うと「NGOで役に立って稼いで、そのお金でB2Fで遊ぶ」ってことですな(笑)。
滞りなくそういう風にできるように、13年目も頑張ってまいります。皆様引き続きよろしくお願い致します。

行ける気はしている、がどうだろう。

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  • 2018/08/26 06:27 午後
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暑かった8月ももうすぐ終わりですね!…って、今日もめっちゃ暑いですが。37度はいかん(笑)。
新製品については工場と折衝しながらじりじりと進めているのですが、週明けには箱の仕様サンプルが手元に届くので、
ようやく本格的に肩の荷が降りそう。発表や販売はこれからですが、「後はもうどういう風に売れるか見るしかない」って感じになります。
自分としては相当手ごたえを持って仕上げてこれてるつもりの復刻ですけども~、もう最近は一層わからんのですよね、どうなるか(笑)。
売れることで自他に多くメリットがある物だと思っているし、自分が感じている昨今の状況に対する自分の全力回答なので…売れてくれ!て感じです。
あとまだ出来上がったわけじゃないので、無事に製造が上がって欲しいという祈りですね。

と、ニューゲームズオーダーの近未来の大方に関わりそうな案件が手を離れつつあるので、ようやく次の案件に移ります。
次のは長年の懸案の物件。考えれば考える程、難しいのでございますが…。いい加減何とかしましょう(笑)。
とりかかりますー。

プレイヤーのターンだと思ってます。

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  • 2018/07/29 07:49 午後
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気が付けば7月も終盤ですねえ!このペースで行くと月1更新すら怪しい…、ということで(笑)、久しぶりにブログ書きます。

しかし例年にも増して暑いわけですが、果たしてそんなときボードゲームというのはどうなのか。
遊ぶ気力無いよ~、となるのか、もう涼しい屋内でボードゲーム遊ぶしかない!となるのか。
お陰様でロングセラーのタイトルをいくつも担当している我が社ですので、売れていってる数を見ながら考える日々です。

規模的に言うと、それなりに以前より拡大した関係上、やった仕事がどのような結果を見たのか…という判断自体、
即時でわからないところがあります。
「ちょっと半年~1年経過を見守らせて、その後方針決めますわ」みたいな心境におちいることしばしば(笑)。
自分としてはより面白いゲームを、より多くの人に、より深く味わっていただければいいなと願うばかりなんですが、
さて現在の国内状況はそちらに向けて歩を進めているのか?
量的な拡大に反して有効な前進が滞っているような懸念も無いわけではないのですが、そこでできることというのは多くない。

親に言われたことですが、「料理をする時、調味料は一気に入れるな」と。
塩が足りなければもう一回入れればいいが、入れ過ぎた塩を取り除くことはできない。
…当たり前のことなんですけどね。当たり前のことなんですけど、できないんですよねなかなか。

ということで、自分達の次の動き、準備してますがどうなりますか。
表層的に求められていることと、本来的に自分達がやらなければいけないことに、距離感がある気がしているのですが。
本来的に必要なことを頑張ってから、それから考えたいと思っております、ということでこのへんで!

始動予定の6月。

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  • 2018/06/07 06:37 午後
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6月に入ってもう1週間。いやはや。お陰様でグラバーの先行版1000部も弊社では品切れとなり、次のプロジェクトへ着手…、
という頭にはなっているのですが、実際はまだその段階には至っていません。
グラバーの発売という一区切りを付けられたということで、今しか無いとばかりに積み残していた会社の体制変更の事々が生じているからです。
加えて、弊社の営業上の最大の柱にして最大の重荷ともなっている枯山水がこの度またしても品切・再生産という局面に至り、
並行してラーも売り切れ再製造、スルー・ジ・エイジズの増産分も着荷…ということで。
端的に申し上げますと、資金と倉庫スペースが限界です(笑)。
3週連続でコンテナクラスの貨物が着荷してる最中、で本日2週目の荷受けを完了した所です。
来週にはラーを再出荷できるようになる!
以前倉庫スペースを拡張し2倍近くとなったことで、「これで当面置き場所の心配は無いワイ」と一同安堵していたのですが、
想定していたよりは遥かに早く倉庫はいっぱいになりました。いや~、大箱のボードゲームなんて作るもんじゃない(笑)。

…とは言え、これだけボードゲームが広く遊ばれるようになり、自分達の取り扱っているボードゲームが堅調に売れていってる有り難い状況ですから、
供給を切らさない仕事をしっかりやった上で次のゲームにじっくりと着手してまいりたいと考えております。
とりあえず倉庫スペースがいくらか空いてお金が戻ってくるまで座禅でも組むしかない気もしますが…できることをやっていこう。

ゲームマーケットを終えて、新たな姿勢。

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  • 2018/05/12 06:13 午後
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さて、ゲームマーケットを終えて、もう1週間。グラバーのリリースを一つの目的にしてきましたので、まずは良かったです。
2016年、第2回東京ドイツゲーム賞の大賞に選出してからの宿題が、一つ終えられた気持ちではあります。

このゲームがどのような物として受け止められ、遊ばれていくか、というのはこれからですが…、滑り出しは良い形と言えるでしょうか。
まあまず初期不良が連発、みたいなことがなくて良かったと思うのですが。
何回作っても、何十回作っても、平穏無事にゲームを製造して流通させる、というのは難しいものです。

ゲームとしては、まあ…買って、遊んでみていただきたいですね(笑)。可能であれば、できる限り早く。
ボードゲームの面白さというのはネタバレ的な側面もありますから、特に1時間以上遊ばせるようなゲームの場合、
あまり識者の意見や評判を耳に入れずに遊んだほうが楽しめるんじゃないかと思います。

ニューゲームズオーダーがオリジナルを出すとなったら、躊躇なく購入、遊んでみる、
と言う風にしていただいてる方が少なからずいらっしゃいます。たいへん有り難く感じると同時に、一番賢い遊び方だとも思います。
「ニューゲームズオーダーが今回あそこまで勢い込んで繰り出してきたやつはどんな感じなのよ」
「東京ドイツゲーム賞で審査員が絶賛したって噂のあれはナンボのもんなのよ」
ということを自分でいの一番に確かめる、という遊びが楽しいと思うんですよ。
そういう一連をご提供しているつもりです。

「で結局、グラバーどうなの?面白いの?」というクエスチョンを今浮かべてる方というのは、
ある意味私たちのサービスの範囲内にいらっしゃると言っても良い(笑)。
皆さんであのゲームを、活かしていただけたら嬉しい限りです。


グラバーの残部の通販等の仕事は残ってはいるわけですが…、さて次の自分の動きは、ということを考えている時間です。
2018年のニューゲームズオーダーの動き方、という部分では昨年ともまた差を付けており、
今次のゲーム制作に向けてガリガリ動き出している、という状況ではありません。
(開始前のプロジェクトが全く無いわけではないですが)2012年春にファブフィブを出した以降のなかでも、一番ゆっくりとしています。
次どうするか…、というのは、落ち着いて考えたいところ。意味のある、面白いことがしたいですね。
今ちょっと興味のあることはちょっと座標がずれる辺りのことで、あんまりお金に直結しない気もしているのですが、
そこに結構本腰を入れたい気持ちもあります。
…と言いながら今年中にリリースしたくはあるボードゲームがあと3つはあるので、それについては進めて参る予定ですが(笑)。
ともあれせっかくパブリッシャーとして成立できた以上、さらに追及して行きたいと思っております。

ゲームマーケット前日。

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  • 2018/05/04 06:44 午後
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さて、ゲームマーケット前日ですね。
有難いことに、かつての修羅場&修羅場な進行とは一線を画しておりまして、ほぼ準備は完了しております。
明日に向けてスタッフが粛々と輸送準備を進行中です。
2日開催ということもありますし、何より事故無しで、元気に参りたいものですねえ。

自分が今回知りたいのは、グラバーというゲームが今、どういうゲームとして受け止められるのか、ということです。
枯山水を出した2014年の秋と、グラバーを出す2018年春の状況の変化について。

自分としては、このグラバー、良いものにできたつもりでいます。特別強い意味があるものにできたのではないかと。
このゲームに深く、そして広い評価がいただけるのかどうか。発売してみるのみですな(笑)。
ということで会場、A33ブースでお待ちしております。よろしくお願い致しますー。

グラバーの話、製品作りのこと。

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  • 2018/04/20 06:53 午後
  • 投稿者:


[第二回東京ドイツゲーム賞二次審査でのニューゲームズオーダーの初回プレイの動画]
https://www.youtube.com/watch?v=Su9gko0a55U

[最終審査後の講評(音声のみ)]
https://www.youtube.com/watch?v=SEZLUqtjI3Y

[第二回東京ドイツゲーム賞の最終結果発表(の前段の最終協議)]
https://www.youtube.com/watch?v=510RkTvMEuE

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さて、グラバーの話の続きです。上のリンクは、第二回東京ドイツゲーム賞の二次審査以降のグラバー関連動画です。
ニューゲームズオーダーのウェブサイトに公開したルールPDFに加え、
「購入前に内容をより具体的に知りたい、ということであれば」ご覧いただくことも可能です。

このブログでは、ゲーム内容の具体的な所については…、これはパトロネージュについて書いた時もそうだったんですが、
そのものについて発売前にあまり具体的に自分から書くのは避けておこうかなと。
やはり完全にニューリリースとなる新作、オリジナルのゲームですので、「ネタバレ」感があるかと思うからです。
既に「グラバー買おうじゃない、遊んでみようじゃない」と決めている方からすればありがた迷惑になる場合もある。
「グラバーを買うかどうか」「遊ぶかどうか」は、基本的にはプレイヤーのお一人お一人が、自分で決めていただきたいです。
ですので、微妙に中核を避けながら、グラバーの制作周りの話を書いていきたいと思います。


●作者赤瀬よぐさんがアートワークも自らご担当されていること

二次審査(実プレイ審査)で送ってこられたサンプル版のグラバーを見て、自分は「これはズルいな」と思いました(笑)。
後にわかったことだったのですが、作者の赤瀬さんは漫画家・イラストレーターであられ、
応募してきたゲームのルールのみならず、イラストもご自分で描かれています。これは今回リリースする製品版でも同様です。
赤瀬さんの描かれるイラストに、私から依頼・お願いした事々の調整を加えていただき、
現在ご覧いただいているような「グラバー」先行版が生まれました。

自分がルールを書くゲームの絵を自分で書ける…、と言うデザイナーは、シャハトやメルクル等海外の作者でもいますが、やはり武器になります。
(半端な画力であれば、ともすれば自分の絵がゲームの天井を作ってしまうわけですが…)
自らが頭の中で動かしているゲームを、直接自分の手を通じて視覚化できるというのは、
自分は「ゲームデザイナーとしての実力」とカウントしていい部分であると考えます。
そして、パッケージ画像をご覧いただいた方には感じていただけたかと思いますが、
自分は赤瀬さんに描き上げていただいた原稿に、このゲームのさらなる「勝機」を感じました。


●オリジナルゲームの作り方、の作り方

ただ、今回のグラバー先行版制作にあたり、隠れた課題となったのは「赤瀬さんと私吉田の分業体制の構築」でした。
これがなかなか骨の折れる課題になるであろうことは、事前から十分理解していました…、し、想定していた程には実際苦労もありました。
制作を開始するにあたり、当然ながら赤瀬さんに「どういう手順で作業を進めていきますか?」という質問を受けました。
そのご質問は必ずあるだろうと思いました。それはおそらく「ニューゲームズオーダーさんでは通例どういう順序でゲームを制作していくんですか」
という意味でお聞きいただいたんだと思います。

申し訳ないなあ、と思いつつ、色々と話し合った後に一応「いったんパッケージから取り掛かりましょう」ということをお返事したんですが、
自分のその段階での本心は「実はどこからやったら良いかはわかりません」というものでした(笑)。
オリジナルゲームの制作にあたっては、実際は毎回そうなんですね。
作者の意図、アートワーク担当者の意図、製造サイドの意図。どこで攻め、どこで守るか。
いかにして箱に魅力を満たすのか。何かしらを当て込んで手順を決めはするんですが、実際どうなるかは取り掛かってみなければわかりません。
制作が現在進行形になって初めて、関係者が「このゲームをどうしたい」と思っているか、本音の所がわかってくるからです。
(逆に「そういうことはしたくない」みたいな話も非常に重要です)
そして自分としては、「ゲームの魅力を増す意図」については、可能であれば落とし込みたい。
ゲームデザイナーが一番で、編集者である自分が二番で…、というような、絶対的なランキングを関係者の中で作らないと言いましょうか。
もちろん暫定的な優先順位は置くんですが…、「有機的」というのかなあ。
(ジャンルも様々な)たくさんの要素がイメージの中で同居していて、これらの要素が調和を持って、
一つの良い方向に向かっていく、そんな想像をしています。
ゲームを良い物、面白い物にしようと参画する関係者各人が可能な限りやりたいようにやり、尊重し合いつつも遠慮はせず、
自分の意図について退くことがあるとすれば十分な納得を得た上で、できあがった時には全員が
「これは自分が一端を担ったゲームだ」と胸を張れるような…、そうしたやり方で作るのが秘訣だと思っています。
そしてその中で自分は、制作の一挙手一投足が導くことになるだろう未来を予測し、
それが(自分の想定するような)プレイヤーの皆さんにとって望ましい結果をもたらすのか、という判定基準を持ち込みます。
言わば「後にこのゲームを買って遊ぶプレイヤーの代理」をする。「風が吹いたら何屋が儲かるか予測する」係。
「これを1㎜動かしたら何が起こるか?」「ここをもう少しだけ改善する為にはどこを触ればいい?」
ずーっと、ずーーっとそんなことばっかり考えています。

外目から見ると、ニューゲームズオーダーでのゲーム作りは全くスマートには見えないはずです。
何回も変更があり、差し戻される。
いざとなれば、箱の大きさだって、販売価格だって、原価率だって発売日だって変えられてしまいますから。
いじれる要素を増やせるように、会社をやってきたわけです。いじれる要素が多すぎて統率するのは一層たいへんなんですが、
それが上手くできれば、より一層願ったりかなったりのものができる。そういう「ハードモード」が、自分達のゲーム作りのやり方です。

赤瀬さんに度々「これは私が決めた方が良いですか、それとも吉田さんが判断されるんですか」といった向きの質問を受けました。
その度、「どうするのが良いですかね」という話をしたと思います。メールでも、電話でも。
赤瀬さんにも粘り強くお付き合いいただいていく内、日を追って息が合ってきたように思いました。
形が見えてくるまでは、苦しい部分があるわけですが…、そこで頼りになったのはやはり、
赤瀬さんが応募してきたプロトタイプがしっかりしていたことと、制作の当初に描いていただいたパッケージのイラストでした。
パッケージのイラストは、ゲームを作る上でやはり「旗」になるので、大切なんです。

そして本日段階で、「どうも全ての内容物が無事出来上がりそうだ」という所まで差し掛かりました。
やっと(笑)。赤瀬さんにも今で完成状態をお見せ出来ていないのですが…、良いんじゃないかなと。
自分としては、良い所まで来れたのではないかなと、そう認識しています。


●1時間級の、楽しい、スリリングな、交渉ゲーム。

ルールPDFをご覧いただいた方はご把握かと思いますが、ルールブックが16ページ(最終ページが空なので正味15ページ)あります。
自分はルールブックは短ければ短い程優れていると考え、常々重く取っている部分なので悔しくもあったのですが…、
図や例が入っていない言葉足らず、魅力足らずなルールになってしまうことは、
ああいった形でこのグラバーを東京ドイツゲーム賞に応募されてきた赤瀬さんの意図を曲げることになるのではないか、
と考え、様々検討した後「16ページで行きましょう」と自ら決断しました。ホント悔しい(笑)。12ページにしたくはあった…。
ただまあ、これはグラバーが「ラー」「さまよえるオランダ人」「ババンク」とほぼ同サイズの箱を採用しているからで、
ルールブックの判型が例えば枯山水等より小さいためではあります。
このゲームのルールは、実際には非常に飲み込みやすく、加えて「プレイ中に間違えにくい」ゲームになっているのではないかと思います。
これは美点かなと。把握がしやすいうえ、いったん把握してしまえば、あまりルールを見返すこともなくなると思います。
多くのプレイヤーが、ゲームの攻防自体の難しさに注力できるゲームになっている。これは非凡です。
理想の高いゲームがしばしば「ぼくらプレイヤー全員の処理能力がもうちょっと高かったら、このゲームはきっと傑作なんだろうね…」
みたいな感想を抱かせるのと、対照的です。

商人としての役割を担うプレイヤーにとって魅力的な各種の施設タイル、展開を大きく変える「協力者カード」等、
「ある程度の時間遊ばせるボードゲームらしい」「期待に応えるような」華が添えられつつも、このゲームは決然とした「交渉」ゲームです。
ご存知の方は多いと思いますが、私は交渉ゲームが非常に好きですし、そういった駆け引きの遊びこそ、
何ら古びることの無い、ボードゲームのど真ん中だと信じています。
この中核に新たに組み込まれた「交渉カード」という要素。是非体験していただきたいです。
これから遊ぶ方々のことを思うと、ニンマリとしてしまいます。
交渉ゲームだからと、食わず嫌いはやめてほしい、本当に(笑)。


●先行版、4800円、1000部

価格を4800円としたのは…、当初は3800円すら狙っていましたが…、
パトロネージュや、それ以上に第一回大賞の枯山水を意識した上でのことです。
このゲームが、本腰のボードゲームを初めて遊ぶ方々にとっての、新たな突破口になってほしい。
そこで手が出る値段で1個、オリジナルゲームを出したいと、思っていました。グラバーは自分のそうした思いに、がっちりとはまりました。

ただ、これを先行版として、1000部とした理由。
一つには、時間のかかる海外製造を実行するスケジュールの余裕が無いという、弊社業務上の都合によりました。
西山の管轄する国内での製造ラインを用い、バランスを得た製品が完成しつつあります。
…厳密に言うとなかなか内容物は入っているものなので、1000部で4800円を十全に実現するには至らず、
予算としては弊社基準を飛び出ているのですが、それもまた「ゲームマーケットで1000部を販売する」という想定の上では何とかなっている。

1000部にした理由は…、やはりそれでも、「わからない」からです。このゲームが、2018年現在ボードゲームを愛好している皆様に、
そして今ボードゲームの魅力に気づき始めた皆様に、どのように受け止められるかは。
自分はめちゃくちゃ面白いと思っている。沢田も、そしてタナカマさんも口を揃えてそう言っていた。
でもその割には、今ボードゲームの主要パブリッシャーからは、こういうゲームはあまり出てきていない。
…古いんですか、こういうゲームは。

そんなことは無いよ。このゲームは、めちゃくちゃ新鮮だった。と僕らが言ってるんですけど、どうですか?
という、自分の声が届く周辺にいる、1000人ばかり、1000グループばかりの、ボードゲーマーの皆様への「投げかけ」です、今回のグラバー先行版は。

「他の人が遊んだ評判見てから買うかどうか決めます」という動き、あんまり好きじゃない。
それ、賢くない。楽しくない。自分がいの一番に買って、気の良い仲間と遊んでみりゃあ良い。
買ったゲームが面白かったら、自分の目利きを誇ればいい。
残念ながら詰まらなかったら、「チクショー!」と泣き笑いしながら、次のゲームを遊べばいい。

グラバーがあなたにとって面白いかどうか?本当は知りません(笑)。
ただ、あなたにとって面白いゲームであるように!と思って、一同頑張って作りました。
そのお代が4800円です。「何、オレの為に作ってくれたの?じゃあ良いよ、試しに遊んでみるわー」って人が、
1000人いたら良いなと思ってます(笑)。是非、グラバーは面白いのかどうか、確かめてくれたら嬉しいです。

ということで、グラバー、ゲームマーケットで発売します。
よろしくお願いいたします。

グラバーの話、第2回東京ドイツゲーム賞の一次審査のこと。

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  • 2018/04/20 05:04 午後
  • 投稿者:


http://www.newgamesorder.jp/games/glover

お知らせしていた通り、先日「グラバー」のルールブックPDFをアップロードしました。ご興味ある方は、よろしければご一読下さい。

さて、前回は前置きとして私の思う所を色々書きました。
あちらと公開したパッケージ、ルールブックを踏まえ、このグラバーというゲームの制作について、お話しして参りましょう。


●第二回東京ドイツゲーム賞・一次審査の話

自分が初めてこのグラバーというゲームを認識したのは勿論、2016年に開催した第二回東京ドイツゲーム賞の一次審査(書類審査)においてでした。
はっきりと憶えています。応募されてきた全てのゲームの中で、最も鮮明に憶えている。
何故なら自分は、手に取った応募書類を一目見て、即座に「通過」と言ったからです。
本当に、5秒も経たず、ぱらっと見ただけで判断が付きました。それ程に、自分にとっては決定的な応募書類だったのです。

東京ドイツゲーム賞の一次審査というのは、「可能性を感じたものは通過」という基準を敷いています。
(先刻ルールブックを公開しておいてなんなのですが)自分達は、
「本当に面白いゲームかどうかは、ルール文面を読むだけでは判断できない」と考えているからです。
これは過去の東京ドイツゲーム賞の審査の経験からより鮮明になった立場でもあります。
そのゲームにおける手続き。そこで何において優越したプレイヤーを勝者として評価するのか。
ゲームの一連を通じ、プレイヤーのいかなる心理的な体験を、いかに実現すべく狙いを定めているのか。
ルールを中核とした書類でアピールしてもらい、その内実を測りはするわけですが、
それが実効性を持つゲームのルール足りえているのかどうかは…、まあやはり、やらなければわからないわけです。
TVでいかに美味しそうな食レポを眺めても、美味しくは無いように。
食レポの達人であれば、もしかしたら美味しくない料理をあたかも美味しいかのように、視聴者に見せられるかもしれません。
遊ばねばわからない、しかも、そこに「面子」という野蛮な乱数を掛け合わせなければ実体を持たないのが、ボードゲームというものです。

それでは、そのグラバーの一次審査書類から、自分は何を感じたのか。
それは「自分のゲームの魅力に気付いて欲しい」「自分のゲームを楽しんでほしい」という、あふれ出んばかりの応募者の願望でした。
自分のゲームが私たち審査員の目に最大限に魅力的に映るようにという、工夫、心遣いが凝らされていた。
ラフとは言えゲームの持つムードを伝えるべくいくつものイラストが付され、プレイ風景がルールブックの余白に図解され、
程よいキャプションが付けられ…、そこには幾分のユーモアも見て取れました。

それでいて、ドイツボードゲームの文法を外していなかった。
ルールブックの構成からも「自分はドイツボードゲームの何たるかを自分なりに理解し咀嚼した上で、オリジナルのゲームをデザインしています」
ということが明確に伝わってくる。明らかに基本を知っている。そしてその上で敢えて、基本から踏み出すことに成功している。
躊躇なく自らの魅力をアピールしてきているのに、全く嫌らしさが無い。むしろその屈託の無い貪欲な手つきに対して、好ましさしか感じませんでした。


 ↑一次審査に応募されてきた際のグラバーのルールブックの一部

最上級に良い意味で、一次審査において「グラバー」は完全に浮いていました。
他の全ての候補が「礼儀正しく」、しかしながらグラバーと比較すれば「おずおずと」応募書類を出してきていた。
グラバーだけが、作者の人格、性格の良さと言ったものを端々ににじませながらも…、「『大暴れ』している」。一見して、自分はそう感じ取りました。

他の全ての候補が、書類審査において、言わばこの東京ドイツゲーム賞の審査の「序盤」然と振舞っている中、
グラバーだけが、「この瞬間に、全力で勝負を決めに来ている」。そのようにすら、自分の目には映りました。それが素晴らしかった。
別に私たちは「一次では序盤らしく振舞え」と言ったつもりはありませんでしたから。そんなルールは言ってない。本当は自由。

ボードゲームをいくつも出版してきて、考えてきたことがあります。
どういった条件を満たした作者が、群を抜いて面白いボードゲームを創造し得るのか。
ボードゲームに対する深い造詣を持ち、自らの意図したゲーム・セットを自在に完成させる技量を持っているということ、
…それは核では無いのかもしれないと。優れた技量にはもちろん敬意を抱くべきですが、技量は万能ではないのではないか。

一番大切なのは「遊ぶ人たちに、存分に楽しんでほしい」という願いを、どれだけ強く持ち続けながらゲームを生み出すか、なのかもしれない。
何としてもあの人たちを、喜ばせたいと。
そういう、エンターテイナー精神にあふれた人が、技量を兼ね備えた時、最高のゲームを生み出す可能性を持つのではないか?
ゲームを作る時。ゲームを遊び、ゲームを現出させてくれる人たちの幸せを、あなたは願っているか?
その「共作者たち」に、感謝しているか?その人たちのゲームを遊ぶ力量を信じる、勇気を持っているか?

「自分が作ったゲームをプレイヤーがどうするかは知らないよ。関知するところではない。自分は自分のやるべきことをやるだけだ」

こういう気持ちでゲームを作っている作者の方、珍しくないのでは、と思います。
おかしいとは思わない。気持ちは痛い程わかる。直視したら「あんまりだ」と思うようなプレイング。
余りにも雑な、それでいて断定的な評価。ゲームを世に問うたことがあれば、必ず目に入るでしょうから。
失敗作があふれる程に出回る状況だけに避け難いとはわかりつつも、その失敗作と一緒くたにされる価値あるゲームもまた、目にすることは珍しくない。

ただ作者が、プレイヤーと幸せな関係を結ぶことへの期待を止めて、あるいは期待を抑えて作るゲームには、
(少なくとも私たちがホームとするユーロボードゲームの領域では)、そう高くない所に限界があるのではないかと、自分は考えるのです。
プレイヤーが応えてくれない、自らの意図が一方通行となる、そういった悲しみに挫けず、プレイヤーへの期待を続けること。
「我が意を得たり」と感じさせてくれるプレイヤーの方々との、ゲームを介した合力を、強く念じること。
そういう有難いプレイヤーは、あるいはプレイヤーのグループは、ゲームを長く遊んでいるとか、たくさん持っているとか、
勝ち方を知っているとか、そういったこととは無関係に、世の中に点在している。
その人たちに、このゲームを届けたい。その人たちに、遊んでみて欲しい。喜んで欲しい。
そしていつかそういう人たちが、少しずつでも、一人ずつでも、増えていってほしい。
自分は、こういった願いがボードゲーム作りの肝だと、考えています。

一次審査を経て、自分はグラバーがきっと面白いゲームであろうと、確信したか?
答えはノーです。遊んでいないから、わかるわけがない。ただ、「このゲームが面白かったら、素晴らしいんだけどな…」と思いました。
「グラバー、面白いゲームであってくれ」と願いました。その期待が、一瞬で自分の中に生じました。
上に書いたような自分の「面白いゲームを作り得る作者とは…」という考えに、この上なく合致するものを感じたからです。
これが私が持った、グラバーへの第一印象でした。

というところで一回切りましょう。すぐに続きを書きたいと思います。
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